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ベータクォーツについて

ベータクォーツ(Beta Quartz/β-Quartz/高温石英)は、石英(SiO₂)の高温型であるβ石英に由来する標本に用いられる名称です。石英には低温型のα石英と高温型のβ石英があり、常圧では約573℃を境に、三方晶系のα石英から六方晶系のβ石英へ可逆的に相転移します。β石英は独立した別の鉱物種というより、石英の高温型の結晶構造を示す相として扱われます。

β石英は常温では安定しないため、高温で形成された結晶も冷却するとα石英へ速やかに転移します。その際、化学組成はSiO₂のまま結晶構造が変化しますが、結晶の外形は保存されることがあります。そのため、鉱物標本として「ベータクォーツ」と呼ばれているものは、厳密にはβ石英そのものではなく、β石英として形成された外形を残すα石英の同質仮像(paramorph)です。

高温型石英由来の標本では、柱面が短く、上下の錐面がよく発達した六角両錐状の結晶が典型的に見られます。とくに流紋岩などシリカに富む火山岩中では、ずんぐりした両錐状結晶として産する例がよく知られています。ただし、β石英として形成された結晶が必ずこの形になるわけではなく、空隙中で自由に成長したものには柱面の発達した結晶もあります。

また、六角両錐状の外形だけで、その結晶がβ石英として高温で形成されたと断定することはできません。低温型のα石英にも似た晶癖を示すものがあるため、β石英由来かどうかを判断するには、結晶形だけでなく母岩や地質環境なども重要になります。ベータクォーツ標本では、こうした高温型石英の結晶構造と、その後のα石英への相転移によって保存された外形を観察できる点が大きな特徴です。