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ツァボライト(Tsavorite)は、ガーネットグループの鉱物種グロッシュラー(Grossular/灰礬柘榴石)のうち、鮮やかな緑色を示すものに用いられる変種名です。グロッシュラーは理想化学式 Ca₃Al₂(SiO₄)₃ を持つ等軸晶系の鉱物で、ツァボライトの緑色には主として微量のバナジウム(V)やクロム(Cr)が関係しています。ツァボライトは独立した鉱物種ではなく、宝石学・鉱物市場で広く用いられている名称です。
色調は黄緑色から鮮緑色、深い緑色まで幅があり、一般には彩度の高い緑色のグロッシュラーがツァボライトと呼ばれます。より淡い緑色のものはグリーングロッシュラーやミントグロッシュラーと呼ばれることもありますが、両者を分ける色の濃さについて完全に統一された基準があるわけではありません。結晶は菱形十二面体や偏菱二十四面体、それらを組み合わせた形態などを示します。
代表的なツァボライト鉱床は東アフリカのケニアとタンザニアにあり、新原生代のモザンビーク帯に属する変成岩類と関係しています。グラファイトを含む片麻岩や片岩、カルクシリケート岩、マーブルなどを含む変成堆積岩類の中で、高温・高圧の変成作用と流体活動に伴って形成されたと考えられています。ケニア・タンザニアのほか、マダガスカルやパキスタンなどからも緑色グロッシュラーが知られています。
「Tsavorite」の名称は、東アフリカでこの緑色グロッシュラーを発見したCampbell Bridgesの標本をもとに、1970年代にTiffany & Co.がケニアのTsavo National Parkにちなんで名付けたものです。同じ緑色ガーネットでも、デマントイド(Demantoid)はアンドラダイト(Andradite)の緑色変種であり、ツァボライトとは鉱物種が異なります。ツァボライト標本では、緑色の濃淡だけでなく、結晶形、透明度、ゾーニング、インクルージョンや母岩との関係なども観察できます。
