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HED隕石(Howardite–Eucrite–Diogenite)は、ホワルダイト(Howardite)、ユークライト(Eucrite)、ダイオジェナイト(Diogenite)の3グループからなるエイコンドライトの代表的な隕石群です。初期太陽系で加熱・溶融し、内部が分化した小天体で形成された火成岩質の隕石で、その主要な母天体は小惑星ベスタ(4 Vesta)と考えられています。
ユークライトは主に輝石と斜長石からなる玄武岩質の隕石で、ベスタの地殻を形成した火山岩や浅部で固結したマグマに相当すると考えられています。これに対してダイオジェナイトはオルソ輝石を主体とする深成岩質の隕石で、より深部でゆっくり結晶化した岩石を代表します。ホワルダイトは、主にユークライトとダイオジェナイトなどの破片が衝突によって混合したポリミクト角礫岩で、表層のレゴリスに由来するものも知られています。
HED隕石とベスタの関係は、望遠鏡による分光観測から長く推定されてきましたが、NASAのDawn探査機によるベスタ表面の鉱物・元素組成の観測によって強く裏付けられました。ベスタは太陽系初期に大規模な加熱と溶融を経験し、地殻・マントル・金属核へと内部が分化した天体です。HED隕石には、その火成活動や地殻形成、その後に繰り返された天体衝突と角礫化の記録が残されており、初期太陽系における小天体の分化と進化を研究する重要な試料となっています。
当店では、Millbillillie(ミルビリリ)やCamel Donga(キャメル・ドンガ)などのユークライト、NWA 7831などのダイオジェナイト、Dar al Gani 779などのホワルダイトをはじめ、さまざまなHED隕石標本を取り扱っています。分類による鉱物組成や岩石組織の違いを比較することで、一つの分化天体が持つ地殻形成と衝突の歴史を実物標本から見ることができます。
